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- 2025/10/17
サルバドールズ
月刊サルバドールズ #25
渡辺 宗貴/家系図作成代行センター株式会社 代表

「今の子どもの方がはるかに大人で、自分で物事を考えて動いているという感じがします。」
Profile:
1973 年、北海道釧路市生まれ。家系図作成代行センター株式会社代表。行政書士。
行政書士として開業当初、たまたま家系図作成という業務があることを知る。興味から自分の戸籍を取って家系図を作ってみたところ意外な手続きの面倒さ、古い戸籍の文字を読む難しさを知り以後、専門業務として扱う。全国から毎月300 件以上の相談と年間200 件以上の作成依頼を受ける家系図専門会社「家系図作成代行センター株式会社」を設立。
Q1:人生において大きな影響を受けた本はありますか?また、よく人にプレゼントする本はありますか?
人にプレゼントする本は自分で書いた家系図の作り方の本です。家系図作りは始めてから20年になります。先日、家系図について書いた小説も出版されたばかりなのでそれもよくプレゼントしますね。販売されている書籍だと『成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈・著)』という本です。たしか2024年の本屋大賞の受賞作だったと思います。主人公・成瀬あかりの成長していく過程を描いたほんわかした内容ではあるのですが、その主人公が個性的で。独特ながらも一本筋の通った物事の考え方とか生き方に共感すると共に「こんな考え方があるんだ」と感心しました。主人公は他人から影響を受けず、自分の考えを通してみるという一面があります。例えばお友だちとコンビを組んでM-1を目指してみたり、やると決めたら思いきってやってみたり。大成功はしないけれど、その挑戦する過程というか、臆することなく平気で挑戦する姿勢というか、そういった何も恐れず、何の先入観も持たず挑戦する姿勢に共感しました。この本はまず小説からスタートして、のちに漫画化されました。さらにその後、朗読劇になっていたと思います。エンタメとしても面白いし、非常に読みやすいので人に勧めやすい本です。プレゼントする相手は周りのお友だちが多いです。お友だちのお子さんにもプレゼントしたいですね。ちょうど私の子どもの世代が主人公の世代にあたるので「こういう新しい考え方もあるんだよ」と子どもたちに伝えたいし、我々も一緒に学びたいと思っています。考え方の幅が広がるような気がします。
影響を受けた本は3冊あります。1冊目は『銀河英雄伝説(田中芳樹・著)』です。高校生の頃に読みました。銀河帝国と自由惑星同盟という二大勢力の争いを描いている話なのですが、両面的な考えがあって、どちらが悪と言いきれないんですよ。どちらにも善の考えがあって、一方的な悪が存在するという作品ではかったのでいろいろ学べました。20歳くらいの頃は『人を動かす(D・カーネギー・著)』を読みました。この本は新しい考え方を学びました。近年だと『嫌われる勇気(岸見一郎/古賀史健・著)』ですね。この2冊はとても勉強になりました。仕事を始めたばかりの時は右も左もまったく分からなかったので本に助けられました。

Q2:ここ1年以内においてあなたの生活に最も良い影響を及ぼした1万円以内の買い物は何ですか?
ブルースハープです。私はチェッカーズが好きで、お友だちとお遊びでチェッカーズのバンドをやっています。サックスがかなり重要なのですが、吹ける人がいなくてキーボードで代用していました。サックスを今から練習するのはさすがに難しいので、ブルースハープで出来ないかな、と思ったのがきっかけです。ブルースハープは1本4,000〜5,000円くらいです。挑戦してみたら、ちょうどいい難しさでなんとか弾けるようになりました。ブルースハープは小さいハーモニカでとても面白いです。バンドはチェッカーズの曲オンリーでやっています。若い時の遊びでやっていたバンドの音楽仲間がいい年になってまた集まって始めたという感じです。ブルースハープの他にはギターを弾いてちょっと歌えるのと、ピアノで簡単な曲を弾けるぐらいで、本格的な練習までは至っていないですけど、ちょっと遊びで演奏するのは好きですね。
Q3:自分の中では失敗したと思った出来事が後の成功につながったことがありますか?具体的に教えてください。
1~2ヶ月前に家系図をテーマにした小説を書いて出版しました。実は6〜7年前に一度書き上げていて、出版直前まで話が進みましたが、出版に至るレベルに達することができず、最後の最後でダメになったんです。それに関しては失敗ですね。先ほどお話しした『成瀬は天下を取りにいく』という本を読んで「自分もこんな素敵な本を書きたいな」と思い、6〜7年前に書いた原稿を取り出して、ブラッシュアップさせて書いてみました。今回は別の出版社さんですがOKが出て、出版に至りました。当時の自分は今よりもずっと至らない人間で、編集者さんの「こうした方がいい、ああした方がいい」というアドバイスを素直に受け止められなかったんです。自分はこう考えているのだから…と自分の考えで書いて、エゴが結構出ていた本でしたね。でも7年経ってみて『成瀬は天下を取りに行く』の主人公のような素直さを1回学び直して、今の気持ちで素直に書いてみたらどうだろう考え、改めて書いてみました。すると相手にとって非常に読みやすい形が見えてきて、主人公の性格も含め、前に書いた時よりも優しい人たちを書くことができました。自分がなんとかそこまでに成長できたのではないかと思っています。もう書店に並んでいて『千年たどる家系図物語(ヒストリエ)』という本です。家系図物語と書いてヒストリエと読みます。フィクションでありますが、今の仕事とも相まってかなりノンフィクションに近いです。「家系図を作りたい」と私のところに相談に来た女子大生に作り方を教えるという内容です。作っていくと「この家系は武士だった。じゃあ武士の家系はこう遡りましょう」「母方は武士だけど、父方は農家だった。じゃあ農家の家系はこう遡りましょう」といったように実際にこれまで調査させてもらった経験などもすべて入れているので、かなりノンフィクションに近い物語になっています。これを読めば自分のルーツを辿りたいと思っている人もそのやり方がちょっと勉強できるし、戸籍の取り方や戸籍でどこまで遡れるのか、そのあと具体的に何をするのかといったこともすべて書いているので分かります。


Q4:よく思い出したり、人生の支えとなっていたりする言葉はありますか?ことわざや誰かの言葉、あるいは自分が考えたオリジナルな言葉でも構いません。
斉藤ひとりさんの言葉です。10年くらい前に音声で講演とかを聞いていました。この方、とても優しくて例えば子どもの育て方ひとつにしても「良い子ってなんだろう」といった誰もが漠然と思っていることをかなり具体的な言葉に落とし込んで、教えてくれるんです。良い子っていうのは、いるだけで良い子なんだよ。法律を守っていれば、それだけで良い子なんだよ。「もっと良い子になれ」とそれ以上を求める必要はない。それは「丸いボールにもっと丸くなれ」と言うようなものだから、そういうのを求めるんじゃないという言葉を教えてもらいました。それを聞いてから子どもに対しても、自分に対しても否定的な考えを持たないで済むようになりました。
Q5:今まででお金、時間、エネルギーなど何でもよいが自分のリソースを投下して最も価値のあったものは何だと思いますか?
先ほどもお話したようにビジネス書とか自己啓発の書籍ですね。カーネギーさんとかその辺は当然なのですが、具体的に自分が影響を受けたのは金森重樹さんという実業家です。この方は不動産投資もやっていれば、行政書士もやっていて、開業後に『超・営業法(金森重樹・著)』という本を出されました。行政書士業務は、広告費を出すなんてとんでもないと考える行政書士が多く、自分だけでこじんまりとやって、ちょっとした仕事をとってくるというのが一般的でした。でも、この方は『超・営業法』という本の中で商売というのはそういうものではなくて、ちゃんと広告費をかければ人も雇えるといったようなことを書いています。ごく普通のビジネスの考え方を行政書士業務に当てはめてきたような本でした。ものすごく影響を受けましたね。たぶんこの本に出会わなかったら、自分も今まで仕事を続けていなかったのではないかと思います。ビジネスとして当たり前の考え方を行政書士業界に入れてきたという感じですね。士業にビジネス感覚を取り入れることの大切さを最初に本に表現した人かもしれません。当時、自分を含め周囲にいた行政書士の先生方も行政書士業務を「ビジネス」というスケールの大きな枠で捉えていなかったし、そういう考え方まで至らなかったという感じでした。勉強はできるけど、営業はできるのかと言われたら、そうじゃないことの方が多かったですね。周囲から「先生」と呼ばれるので、そこで止まっちゃうことが多いのかもしれません。でもこの本は「そうじゃないんだよ」と新たな考え方を教えてくれました。仕事の絞り方や方向性についてもこの時期に読んだビジネス書の中で得た知識が活かされています。世の中にはいろいろな仕事の仕方があって、行政書士業務ひとつとっても結構、業務の幅が広いです。社労士や弁護士や司法書士にできない仕事が全部、行政書士みたいなイメージですね。個人相手だと車庫証明などができるし、法人相手だと会社の設立などもやります。オールマイティー型で幅広く全部やる人もいれば、僕みたいに「家系図」に特化してそれしかやらない人や車庫証明しかやらないという人もいます。この仕事の選び方はビジネス書で学びましたね。
僕が家系図に特化したのは、たまたまなんです。行政書士の資格は30歳の時に取得しました。それも明確な目的があって取得したわけではなく、ちょっとプラプラしてたので、ちゃんとしなきゃと思って勉強しました。資格を取得したら、行政書士の仕事の中に「家系図」という仕事あることを知りました。当時の僕はおじいちゃんの名前も知らなかったので戸籍を取り、自分の家系図を作ってみました。それが面白くて。でも戸籍を読むのは面倒だし、それに伴う手続きも結構大変なので「これは仕事になるのでは?」と思ってやってみたのが最初です。それまで自身の家系について考えたことはありませんでした。行政書士の資格を取得して、そういう仕事があると知り、実際にやってみたら面白かったという感じです。自分の家は1000年遡るまで至らなかったのですが、それでも調べることで先祖が辿った大きな流れが分かりました。僕は北海道で産まれているのですが、それまで先祖がどこにいたのか知りませんでした。戸籍で4〜5代前まで遡って青森の農村地だと分かりました。そこに住んでいる人たちの中に自分と同じ苗字の方を見つけて、お手紙を出しました。そして自分の先祖の墓やお寺について全部、教えてもらうことができました。自分のルーツが分かると共に苗字の調べ方が分かったので、苗字から辿ってどこから発祥して、どうして青森県に至ったのか、というところまで分かりました。どのお家も1000年遡るというのは難しいですが「おそらくこういう流れで、こう来たのではないだろうか」という大まかな流れは調べることができます。面白いですよね。戸籍の調査にも限界点はありますが、少ない苗字や珍しい苗字の場合でもその苗字の調べ方というものが存在します。

Q6:自分の中でくだらないけれどなぜか止められないクセや習慣はありますか?
これについては考えたのですが、思いつきませんでした。人から見たらきっとあるのでしょうけどね。お話している時に顔を触ってしまうとか、きっとそういうものがあるのでしょうけど思いつかなかったです。でも、おそらくあるとは思いますね。だらしない面があるので、普段のルーチンや習慣にしていることも特にないです。洋服も1番近くにあったものを着るし、同じ服ばかり持っています。ほぼ毎日、同じ格好です。スティーブ・ジョブズさんが服を選ぶという日々の小さな「決断」を減らし、重要な決断に脳のエネルギーを集中させるためいつも同じ服装をしているという話があります。そういう感じで、僕もどちらかと言うと減らす方向に行っています。悩まないために同じ服ばかり買っているという感じです。服は決まっていて、UNIQLOの黒の無地Tシャツです。買う際には「無地」と決めています。いろいろ派手な服を見て楽しんでいた時期や好きな服を選んで着ていた頃もあったのですが、今は無地の黒です。そして人前に出るときは無地の白です。普段は事務仕事が多く、人と会う機会がほとんどありません。講演会やバンドでライブをする際、迷うのが嫌なので白にしています。スティーブ・ジョブズさんの日々の小さな決断を減らすという考え方を知った時「なるほど」と思いました。選択の回数って限界が決まっているらしいですね。「選択する」という日常を少しでも減らして、そのぶん重要な決断にリソースを注ぐことが大切ですね。
Q7:ここ数年であなたの人生をよりよくしてくれた新しい考え方や行動はありますか?
ホリエモン(堀江貴文)さんの生き方を参考にしています。X(旧Twitter)も本もかなり読んでいます。ホリエモンさんは「3歳児のように自分の欲望を出して自分に素直であれ」と言っています。3歳児のように純粋な好奇心や衝動に忠実になり、やりたいことを次々と実行していくべきだという考え方です。例えば人と討論する際に明らかに相手が正しいと分かっていても、こちらにも「感情」というものがあるので、そういう時は「分かったよ。あなたの言っていることは正しいよ。でも、私はあなたに腹が立つ。嫌いだ。」と言ってしまえ、というような感じです。僕にはとても出来ないですけど、素敵な考え方だと思っています。ホリエモンさんはいつも怒っているか笑っているかのどちらかしかないという印象があります。それって何かに対して忖度して我慢するということをしていないからですよね。そういう生き方を推奨していて、自身が実践している姿を見て本当、羨ましいというか、見習いたいと思う部分があります。賛否はあると思いますけど。
Q8:これから新たな挑戦をしようとしている若者へ伝えておきたいアドバイスはありますか?あるいは他者からのアドバイスで無視した方が良いと思うものはありますか?
素直でなきゃいけない、と思います。高校を卒業したあとコンビニでアルバイトをしていました。何もできないのに生意気な若者だったので、仕事のやり方を教えてもらったり、もっとこうした方がいいよと相手が言ってくれたりした時も、すぐにふてくされてしまって素直に聞けませんでした。1度、コンビニの経営者さんに「そんなんじゃダメだよ!」とがっつり怒られたことがありましたね。僕は素直な面もあったので、怒られて「じゃあ辞めてやる」ではなく、怒られて悔しいけれど言われていることは、たしかだと思ったんです。経営者さんも本当は僕のことをクビにしてもいいはずなのに怒ってくれました。それをどう受け止めるかで人生が別れるのではないかと思います。怒られた時に相手に対して反発する人もいます。でも中には反発して上手くいく人もいるかもしれないので、そこはちょっと複雑ですが、悔しくても苦しくても一旦、素直に受け止めて相手が正しいと思ったらやってみるという素直さが当時の僕にあって良かったと思いました。そこから心を入れ替えて、一生懸命コンビニの仕事をやりました。それまでは仕事なんて適当にやってお金さえ貰えればいいという考え方だったのですが、経営者さんから「それは違うよ。このお金を払ってくれるお客さんがいて、あなたの給料が出ているんだよ。」と教えてもらいました。当たり前のことですが、当時は「そうなんだ。その通りだな。」と思い、素直に受け止めて一生懸命、働いたというのはいい経験でした。ただ、なんとも言えないですよね。「うるさい」と反発したのちに別の分野で成功する方もいるかもしれないので、そこは難しいですね。やはり当時は若いこともあり、人のことを素直に受け入れることができなかったり、何もできないのに自分は優れていると思ったりする面はありました。素直であれと思う反面、頑固であれ、とも思ったりするので難しいですね。
会社に勤めていた頃、行政書士の資格の勉強をしている時に、相手はたぶん僕のことを心配して言ってくれていると思うのですが「行政書士で独立なんてやめたほうがいいよ」とか「みんな失敗してるよ」といったようにネガティブな情報を出してくる人がいました。それは無視していいと思います。当時の僕はそれを聞いても受け流していました。会社勤めをしている時に勉強を始め、資格を取ったら独立をしようと思っていました。でも、独立していきなり食べていけるか分からなかったし、どうなるのかも分からなかったので、最初はフルタイムで仕事をしながら副業として始めました。ちょうどインターネットが当たり前になってきた時代だったので、インターネットを使って営業しました。副業から小さくスタートした感じです。続けていくうちにだんだん売上の比率が変わってきたこともあり、思いきって行政書士業務一本にしました。4〜5年かけて36歳くらいで完全に独立しました。
Q9:ここ数年で、うまくNOと言えるようになったこと(ビジネスでもプライベートでも)はありますか?断るコツはありますか?NOと言えるようになった結果、新たに気づいたことや役に立ったことはありますか?
基本的には可能な限りNOと言わないようにしようと思っているのですが、自分の時間を無駄にしたくないですよね。なので飲み会などは本当に気の合う楽しい友だちとだけ計画するようにしています。真正面からNOと言うのは性格的にできないので、NOと言う前に相手から誘われないように工夫しています笑。本当に好きなグループ以外にはなるべく所属しないようにしています。ホリエモンさんならパッと言えるのでしょうけども、僕はそこで強く断ることができるタイプではなく、流されてしまうこともあるので、その前の段階で誘われないように工夫しています。だからNOと言えていないです。NOと言う機会をなるべく減らすように気をつけているくらいです。。
Q10:行き詰まった時、考えがまとまらなかった時、集中力が途切れた時、どうしていますか?
フットサルをやっています。集中力が途切れたらとにかく運動です。何も考えないで体を動かすようにしています。フットサルは始めてから10年くらい経ちます。2014年のワールドカップの時期で、本田圭佑さんとかが活躍した時だったと思います。行政書士は基本的にデスクワークが多いので、非常に運動不足の業界です。当時、行政書士をはじめ弁護士や社労士、税理士が集まった士業の飲み会で「運動不足でちょっとマズイよね」という話になりました。それがちょうど2014年のワールドカップの時期だったので「じゃあフットサルやってみようか」ということになり始めたのがきっかけです。始めてみたら面白かったです。最初は士業のフットサルチームとして始まって、その後いろいろな人が入ってきて、10年続いています。最初は月1でしたが、だんだん月1じゃ物足りなくなって、月2になって、週1になって、今では週3になっています。だから今、めちゃくちゃ健康です。自由参加で、来られる人が参加する形になっています。仲間がたくさんいるので、常に20人ぐらい集まリます。ちなみに今日もあります。みんな仕事が終わって、家のことをやって、そこから集まるので活動時間は夜の8〜10時とかです。運動すると多少の悩みは全部吹っ飛びますね。集中力が途切れた時に頑張ってもどうしようもないなと思って。そういう時は運動して寝るしかないです。あとサウナに行きます。近所にスーパー銭湯がいっぱいあるので、フットサルをやって、ラーメンを食べてからサウナに行きます。リセットされますね。
Q11:サルバドールされたアートや芸術はありますか?単純に好きなアートや芸術でも構いません。
音楽はチェッカーズです。ほぼそれしか聴かないですね。アートに関しては絵を見る云々はしないのですが、1番影響を受けているのは漫画です。特に「ちいかわ」に影響を受けています。単純に好きなアートの部類になるのでしょうか。僕の癒しです。「ちいかわ」は元々X(旧Twitter)の漫画ですが、アニメも放送されています。漫画に関しては更新された瞬間に見ています。きっかけは子どもでした。子どもが可愛いキャラクターだと教えてくれて「ちいかわ」のスタンプを買って欲しいと言われました。その流れでチラッと見てみたらはまった感じです。僕と同年代の男性が結構はまっていますね。見た目がとても可愛いキャラクターなので可愛い物語かと思いきや、キャラクターの子たちはちゃんと仕事をしているんです。意外と労働者階級で『蟹工船(小林多喜二・著)』を思い出すぐらいのかなりハードな仕事をしています。人間社会の構図がしっかり描かれているんですよね。ちゃんと働かないと食べていけないので、この子たちも物語の中で働いてお金を稼いで食べています。時折、この子たちが命の危険に晒されることもあるんです。そのへんになってくると『進撃の巨人(諫山創・著)』の世界をこの可愛いキャラクターに落とし込んだのかと思うくらいの怖さを感じる時があります。癒しでありながら、癒しだけじゃない。その独特の世界観を楽しんでいます。「ちいかわ」の人形も会社にいっぱいあります。子どもたちはもう「ちいかわ」を卒業してしまったので、今は僕だけ見ています。大人が見たらその大変さがちょっと理解できる気がするし、悲しい場面もあるので心が持っていかれます。
Q12:人生のターニングポイントにおいて、あなたに大きな影響を与えた人物は誰ですか?(有名人でも誰でも構いません)または誰にサルバドールされましたか?そして誰をサルバドールしたいですか?
仕事のほかにフットサルと遊びでやっているバンド活動が僕の生活や趣味の一部になっています。サッカーを始めたきっかけは『キャプテン翼(高橋陽一・著)』です。小学校5〜6年生の時に真似をして遊んだことがとても楽しかったという思い出があります。仲間も同年代なので、40〜50歳になった今も『キャプテン翼』みたいなことをやっているとう感じです。当時『キャプテン翼』という漫画がなければ、おそらく大人になってからフットサルをやることはなかったと思いますし、週に3回やっているので、めちゃくちゃ健康になりました。フットサルや運動をしないままでいたら、体重や体調にすごく影響して今のように健康ではいれなかったと思います。サッカーは部活ではなく、遊びでやっていました。僕の子どもの頃はサッカーはまだマイナーで野球しかなかったんです。そんな時に「サッカーって楽しいんだよ」と教えてくれたのが『キャプテン翼』でした。実際にサッカーをやってみて、楽しい思い出ができて、大人になって再びあの気持ちを体感したいという気持ちでフットサルをやっています。健康寿命がかなり延びていると思いますね。そういった意味で『キャプテン翼』にはとても感謝しています。人生を変えてくれた漫画です。
バンド活動を始めたのは中学生の時にチェッカーズを見て、めちゃくちゃかっこいいなと思ったことがきっかけでした。たぶん、それがなければ今もバンドで遊んだり、バンド仲間ができたりしていなかったと思います。40〜50歳の大人になってフットサルや音楽といったこの先も一生続けられるとても良い趣味をもらったなと思っています。そのきっかけが『キャプテン翼』であり『チェッカーズ』であり、という感じです。歳を取れば取るほど、長くやれる趣味が大事になってくる気がします。今はやっていませんが『釣りキチ三平(矢口高雄・著)』がきっかけで、一時期は釣りが好きでした。なんでも漫画から影響を受けています。
サルバドールしたいのは自分の子ども世代の若い子や自分の子どもたちですね。応援したい人は誰か、と聞かれて子どもや子どもの友だちが思い浮かびました。今、僕の子どもたちは中学生と高校生です。僕の子どもの時はスマホも無かったし、時代も違います。あの頃は小中高と学校に行って勉強して、良い会社に入ってちゃんと働くことが当たり前の時代だったと思うんです。でも今はそうじゃない生き方もできるし、選択肢もいっぱいある時代です。うちの子どもたちは学校に行っていないんです。今、上の子は定時制高校に通っています。下の子は中学生ですが、学校には行きたい時に行くという感じです。僕も「全部行かなくてもいいよ」という風に育てています。スマホも無制限にして、自分より良いものを与えて、好きなように使わせて自分で学べるような環境にしています。これが正しいかどうかは分からないですが、そういう風にしています。たぶん僕たちの時代よりもやりたいこと、やれることがいっぱいある人生を歩んでいくと思うので、これからどうなっていくのかなと見守っています。今、僕の子どもたちはとても素直に強く生きていて、僕が中学や高校の時よりもはるかに大人なんですよね。だから応援と言われるとちょっと違うような気もしています。今の若い人たちは僕より優れているし、若い頃の僕よりはるかにしっかりしているし、はるかに礼儀正しいし、なんでも自分で考えて学んでいるので、見ていて楽しいし、嬉しいし、頼もしいなと思っています。上の娘は中学校に行きませんでしたがその後、自分に合う定時制の高校をちゃんと選んで、何も言っていないのに仕事も探して、ちゃんと勤めています。それを全部スマホで調べてやっているんです。僕が中学生の時はとてもそんなことできなかったし、やるという発想もありませんでした。先生に怒られないように良い子にしてようとか、勉強はちゃんとしなきゃとか、良くも悪くもそういう狭い考え方でした。今の子どもの方がはるかに大人で、自分で物事を考えて動いているという感じがします。生きていくために必要な情報や判断を全部スマホから得ているし、ChatGPTも上手く使いこなしています。ChatGPTの良い面、悪い面も理解して使っているので頼もしいです。応援ではないですね。我々より進化していて頼もしいし、何かあったら助けてくださいという感じです。自分も負けないようにしたいです。だからまずは自分を救わないといけませんね。

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