ライブ

LIVEライブ

2025/02/12
LIVE

 

ロマンとは何か?──果てしなき物語

ロマンと聞くと、多くの人は「夢や憧れをかき立てる、どこか非現実的なもの」を想像するかもしれない。古くは中世の騎士道物語から、近代のロマン主義、そして未来に向けた宇宙開発までもが、「ロマン」という言葉で語られることが少なくない。だが、そもそもロマンとは何なのだろう? なぜ私たちは、理屈だけでは割り切れないはずの夢や冒険心に、これほどまで強く惹かれるのだろうか?

 

ここでは、その疑問に答えるために、ロマンを「五つの階層」と「十の次元」という視点から眺めてみたいと思う。私たちの胸をときめかせる“物語”として理解していただければ幸いだ。

 

ロマンはどこから生まれ、どこへ向かうのか──五階層の旅
まず、「五階層モデル」という考え方でロマンのプロセスを追ってみよう。これは、ロマンがどのように個人の内面で生まれ、他者と共有され、やがて大きく実現化していくのかを五つの段階に分けたものだ。

 

①発生:曖昧な憧れの芽
ロマンはたいてい、胸のどこかでふわりと浮かんだ“曖昧な憧れ”や“何となくの夢”として始まる。まだ言葉にすらなっていない衝動。子どもの頃に抱いた「宇宙飛行士になりたい」や「魔法使いっていいな」といった感覚が、その代表例だろう。

 

②共有:共感の輪を広げる
次に、それを誰かに話したり、絵や歌などの表現で示したりすることによって、ロマンは他者へ伝わり始める。うまく伝われば「それ、面白そう!」という声が集まり、夢をともにする仲間が増える。現代なら、SNSを通じて一気にロマンを拡散させることもできるだろう。

 

③成熟:ビジョンとしての確立
ロマンがただの妄想で終わらず、もう少し現実味を帯びてくる段階がある。計画や仲間が揃い、「あれ? もしかしたらいけるんじゃないか?」と具体的な道筋が見え始める。ここで初めて、“衝動的な夢”が“ビジョン”へと成長していくのだ。

 

④実装:行動と現実の交差点
思い切って実行に踏み切る段階になると、実際の結果や影響が現れる。うまくいくこともあれば、必ずしも成功しないかもしれない。ただ、トライすることで初めて見えてくる世界がある。プロジェクトを起動し、新製品を世に送り出し、あるいは大海原へ船を出す。そこには緊張と興奮が渦巻く舞台が広がっている。

 

⑤変容:社会を巻き込み、新たな夢へ続く
このロマンが大きなインパクトを生み、あるいは失敗しても教訓が語り継がれると、社会や文化のほうも微妙に姿を変えていく。かつては突飛と思われたアイデアが常識になったり、逆に「失敗したけれど、その発想が次の挑戦を呼び込んだ」といったケースも多い。ロマンは一度具現化すると、“次のロマン”を誘発していくのだ。

 

こうしてみると、ロマンはただの一時的な夢想ではなく、個人から社会へと拡散し、やがて世界をも変えてしまうかもしれない力を秘めている。そして、その多彩な表情を理解するには、もう一つの視点——「十の次元」——も欠かせない。

 

ロマンを彩る十の次元──時間、空間、感情、そして物語…
ロマンを本当に深く味わおうと思ったとき、いろいろな切り口がある。歴史の話に注目するのもいいし、芸術や心理学から探るのも面白い。ここで挙げる十の次元は、ロマンを解剖する際の“レンズ”だと思ってほしい。

 

①時間
ロマンは、過去への懐かしさ(ノスタルジー)から生まれることもあるし、未来図への憧れから膨らむこともある。タイムトラベルを夢見るSFファンは、まさに時間を超えるロマンの虜だろう。

 

②空間
空間的広がりを求めて、旅や探検に心が躍る人も多い。世界一周や月面着陸など、「未知の場所に行く」という行為自体がロマンそのものだ。

 

③感情
胸のときめき、興奮、憧れ……ロマンは感情を揺さぶる。ふわふわした幸せ感だけでなく、未知への恐怖や絶望すら伴う場合もあるから奥が深い。

 

④思考・哲学
“この世界の意味を知りたい”という根源的な問いがロマンを呼び起こすこともある。宇宙の果てを探究する科学者にとって、それは単なる研究テーマではなく、ほとんど哲学的なロマンの追求だったりする。

 

⑤物語
神話や冒険小説に魅了されるのは、それらがロマンのエッセンスを物語の形で凝縮しているからだ。壮大なストーリーがあると、人は夢を共有しやすくなる。

 

⑥美学・芸術
ロマン派の音楽や絵画には、“常識を超えた表現”への挑戦が詰まっている。想像力と創作が結びつくとき、ロマンがいっそう際立ってくるのだ。

 

⑦社会・文化
大正浪漫のように、時代や地域の事情の中で独特の混ざり合いが起きると、新しい様式やムーブメントが生まれる。ロマンは社会の空気を変える力を持つ。

 

⑧心理学
“夢を見る”とは、自分の内側を探ることでもある。ロマンが人をどう動機づけ、どんな幸福感をもたらすのかは、心理学の大きなテーマだ。

 

⑨経済・実用
不思議なことに、最初は「無駄だ」と笑われたロマンが経済的ブレイクスルーを生むことがある。イノベーションは、ロマンに支えられた大胆な仮説から始まるケースが少なくない。

 

⑩倫理・リスク
大きなロマンには、大きなリスクも伴う。冒険で命を落とす可能性、技術開発が引き起こす環境破壊……。“夢”を追ううえで“どこまで許されるか”という倫理的問いは、決して軽視できない。

 

五階層 × 十次元の先にあるもの
もしこれらの十次元のレンズを当てながら、ロマンがどのように発生し、共有され、成熟・実装され、そして社会を変容させるかを考えると、驚くほど多彩な姿が浮かび上がってくるだろう。
たとえば、「発生」の段階で“未来を想う時間次元”と“恐怖混じりの興奮という感情次元”が結びつけば、SFめいたロマンが頭の中に芽生えるかもしれない。あるいは、「実装」の場面で“美学次元”と“経済次元”を組み合わせると、アート作品のような新商品が生まれるかもしれない。
こうした多次元的な組み合わせが、私たちの想像力を次々に刺激し、ロマンの物語を際限なく豊かにしていく。

 

それでも、ロマンは語り尽くせない
ここまで五階層と十次元を駆使してロマンを整理してきたが、その全容を言語化しきれるわけではない。そもそもロマンは、人間が「なぜか魅了されるもの」を指し示す言葉であり、その“理由”を克明に分析しすぎると、肝心のときめきが逃げていくような気もする。
だからこそ、この体系はあくまで“地図”にすぎない。実際のロマンは、地図の上を超えて、もっと遠くまで広がっているはずだ。何かに突き動かされて、よく分からないけど船を出してしまう——その一歩が、いつか歴史を変えるかもしれないし、ただ自分の人生をちょっとだけ彩るだけかもしれない。それでもいいのだ。

 

未知なる可能性を抱いて
ロマンとは、「無駄かもしれないけれど、思い切って飛び込んでみたい」と思わせる力でもある。理性的な分析を超えた場所にこそ、夢の種は眠っている。五階層をたどり、十次元の多彩な光を当てながらも、最後に残るのは「やっぱりやってみたい」「見に行きたい」と思う胸の高鳴りかもしれない。
そうした高鳴りに素直になれるとき、人は今よりも少しだけ自由になれる。そして、その自由こそがロマンがもたらす最大の贈り物なのではないだろうか。

RANDOM SALVADORSランダム

戻る

CONTACTお問い合わせ

「サルバドール・ミー!」「ビジネス・サルバドール」の
ご依頼・ご相談
取材、講演、その他の問い合わせは
こちらからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

戻る