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2022/03/16
月刊サルバドールズ

 

月刊サルバドールズ #01

おへひょ/ひょうたんランプ作家

 


 

 

 

 

「衝動に沿って動いた結果が今です。」

 

Profile:

おへひょ

山形県上山市に自身の工房を持つ。

ワークショップを開き、多くの人と交流を深めながら、

ひょうたんランプの優しい灯りと癒しを多くの人に届けている。

 

 

Q1:人生において大きな影響を受けた本はありますか?

画全般、特に『AKIRA』が好きです。「俺達ァ健康優良不良少年だぜ」とか出てくるセリフやキーワードが刺さる。

ものすごくロック。プラスなニヒリズムを感じるんです。

僕らと同世代ってものを斜めに見る世代なのかなぁ。社会に対してアンチというか。だから『AKIRA』は刺さるんです。

「この世界腐ってるぜ」みたいな世界感が好きだなぁ。

あとは『ドラゴンボール』とか『ジョジョ』とか。最近の作品だと『呪術廻戦』も好きです。作者が宮城県出身で、東北なのも親近感がわきます。

最近の漫画は本当に面白いですね。深みがあります。言葉では言い切れない重みがあるストーリー展開に加え、作品自身が時代を背負っている感があります。今の時期で言うとコロナですかね。どう受け入れるか、どう立ち向かっていくかという思いがカルチャーにもしっかり反映されていると感じます。

あと養老孟司さんが推薦している『世界一うつくしい昆虫図鑑』も。

僕、生き物が好きなんですよ。養老孟司さんは解剖博士でもあり、哲学者の感じがすごくしますね。ニーチェ、サルトルみたいな。ものの本質を投げられる。社会の概念に一石を投じることができる凄さを感じます。

 

 

Q2:よく人にプレゼントする本はありますか?その理由も教えてください。

に本をプレゼントすることは、ほとんど無いかも。実は本に関しては小学生の時にちょっとした事件があって。(笑)

当時、サンタさんからのプレゼントを楽しみにしていたんですが、僕のところに届いたのは3冊の童話だったんです。

僕はサンタのプレゼントが本だったので、大泣きしてしまったんですよ。幼少期のほのぼのエピソードです。

 

 

Q3:ここ1年以内くらいで生活に最も良い影響を及ぼした1万円以内の買い物は何ですか?

「ハウルの動く城のフィギュア」かな。見た目は城というか、ボロ屋ですが。魔法が奪われてしまったんです。さらにその城は自分が魔女だと自覚のないヒロインの力で動いているんです、本当は。

自分では他人に力を与えていると自覚していなくても、実は他人に大きな力を与えている。いるだけで人に力を与えることがあるんです。このことを思い出してほしい。それを象徴しているフィギュアだと思います。いるだけで人に良い影響を与えることを忘れない。その気持ちを思い出す。動かされている。作家として人が喜ぶものを作ることもそういうことなんじゃないかな。

 

 

Q4:自分の中では失敗したと思った出来事が後の成功につながった経験はありますか?具体的に教えてください。 

んな言わないけど、あえて言います。某オトナのサイトの話。

最近はパッケージのフォトショのビフォーアフターの変化がエグイです。原型が分からない。可愛いかも…と思って見てみたらアレ…?ってなります。そういう時、失敗したなぁ~と思います。(笑)

1度、間違ってニューハーフ系を見てしまったことがあって。でも結果、出演している相手役の女優がとても良かったんです。何が言いたいかっていうと、偏食はダメだよっていうことです。(笑)

 

 

 

Q5:よく思い出したり、人生の支えとなっていたりする言葉はありますか?ことわざや誰かの言葉、あるいは自分が考えたオリジナルな言葉でも構いません。

「頼みごとは試しごと」です。「コレできませんか?」と言われることがあります。それに対し「本当にできるのかな?」と勝手に自分の可能性に蓋をしてしまうこともあります。

有吉弘行さんが「やる理由は少なく、やらない理由は数多くある」と話しているのを聞いて、まさにそうだなと思いました。探究性を求めるには自分の考え方からはみ出した方が良いのではないかと。そんな時この言葉を思い出します。

枠から出ること。無理だなと思っても一旦、受け入れてみること。

自分の限界に負けないこと、可能性を投げ出さないこと、それが一番大事♪

大事MANブラザーズバンド的な(笑)

 

 

Q6:今までの人生で自分のリソースを投下して最も価値のあったものは何だと思いますか? (お金、時間、エネルギーなど何でも良い)

「価値」という言葉にアレルギーがあるんですよね。作家ってクリエイティブ。その中で大切なのは遊びという概念。

コレって面白いんじゃないかという衝動に突き動かされて、それが結局、形になり経験値として残るんじゃないかと。

綺麗、美しい、気持ちいいを追いかける。自然の中で遊んだ経験や子どもの時の体験が大きいから、それが最も大切な価値の基準になっているかもしれません。だからプラスチックを使うと罪悪感があります。衝動に沿って動いた結果が今です。

 

 

Q7:自分の中でくだらないけれど、なぜか止められないクセや習慣はありますか?

ット中毒。買いもしないのにネットショッピングとか。

参加しないのにオークションを見ちゃう。昔遊んだおもちゃとかビックリマンシールとかいくらになるのかなぁ、と気になって。子どもの時、好きだったものがどのくらいの値段になるのか知りたくなるんです。何かが満たされないからそれを満たす代理行動かもしれない。

 

 

Q8:これから新たな挑戦をしようとしている若者へ伝えておきたいアドバイスはありますか? あるいは他者からのアドバイスで無視した方が良いと思うものはありますか?

「松茸のシーズンになった時に松茸とイチモツを比較するのはナンセンスである」と、若者に伝えたい。要するに童貞や包茎は気にするなってことですね!

 

 

Q9:行き詰まった時、考えがまとまらなかった時、集中力が途切れた時、どうしていますか? 

がその時じゃないと思って後回しにする。急がば回れでやる。一度寝る。エントロピーを捨てること。寝たりリラックスしたりすることは大切です。熱力学第2法則を重視せよ。熱いお茶は少し置いておけば飲めますからね。

 

 

Q10:人生のターニングポイントにおいて、あなたに大きな影響を与えた人物は誰ですか?(有名人でも誰でも構いません)または誰にサルバドールされましたか?そして誰をサルバドールしたいですか?

浦じゅんさんの影響は大きいです。デザイナーであり編集者でもある彼の著書に『「ない仕事」の作り方』という本があります。これからは「ない仕事」がどんどん増えてくる。みうらじゅんさんの先陣を切って自分のフィールドや世界観を作って、自分の生業にしてしまうところが素晴らしいと思います。ない仕事を自分で作っていくんだってことに大人になって気付きました。プラスのニヒリズムが心地良いんです。まるで子どものように自ら遊びを作っている。力が入ってない。まるで何かの達人のような感じが好きですね。

そういう点ではリリー・フランキーさんにも同じ匂いを感じます。いとうせいこうさんも。

電気グルーヴの石野卓球さんにも影響を受けています。新しいけど懐かしい、テクノロジーなのにノスタルジー。歌詞も馬鹿げている。アナーキズムで良い。世界を斜めから見ている姿勢に影響を受けました。

あとウィリアムバロウズ。ヱビスさんも好きになると思う。

彼は作家であり、音楽家であり、ヤク中。いわゆるクズ人間。カットアップ(※)も面白い。意味がありそうでないような言葉。ある意味、ダリに近い感覚ですね。彼の存在がドラッグそのものだと。それはフロイトの無意識の世界に近い。潜在意識に触れるような体験ができることが魅力。無意識下での面白さというか。

夢野久作「ドグラマグラ」の世界に近いかな。

カルマ(業)が深い人ほど、逆に人をサルバドールできるのではないか、と思うんです。その深さを知っているから。

でも、それと同時にカルマが重くなりすぎた人はサルバドールすることも、されることも難しいのではないか…とも思います。

人を惹きつける力って重力みたいなもの。色々なことを経験した人の力って重力みたいに強い。

今、自分は誰かをサルバドールすることはできませんが、そういう人に対して憧れがありますね。

 

※「カットアップ」とはテキストをランダムに切り刻んで新しいテキストに作り直す、偶然性の文学技法またはジャンルのこと。

 

 

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