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2022/05/18
月刊サルバドールズ

 

月刊サルバドールズ #02

毛塚幹人/都市経営アドバイザー

 


 

 

 

 

「令和の二宮金次郎になりたい。」

 

Profile:

毛塚幹人

1991年2月19日生まれ。栃木県宇都宮市出身。
東京大学法学部卒業後、2013年に財務省入省。国際局、主税局を経て財務省を退職。
2017年4月、つくば市副市長に就任。2021年3月に退任し、地方自治体の政策立案や職員育成支援の取り組みを開始。
現在は三重県みえDXアドバイザー、栃木県那須塩原市及びさくら市の市政アドバイザーを務める。
ForbesJAPAN誌30 UNDER 30(世界を変える30歳未満の30人)、2020年に世界経済フォーラム「グローバルシェイパーズ」選出。

 

 

Q1:人生において大きな影響を受けた本はありますか?また、よく人にプレゼントする本はありますか?

本哲史さんの「僕は君たちに武器を配りたい」という本です。
財務省に内定した数日後、著者である瀧本さんとお会いする機会がありました。私は自分が生まれ育った宇都宮市を含む地方都市への問題意識について瀧本さんに話すとともに、最近財務省に内定したことを伝えました。瀧本さんからはこれまでハイスペックと一般的に思われてきたものもすぐにコモディティになっていく時代認識とともに「既存のルートに乗っかって世の中を変えた人はいない」と言われてしまいました。
その言葉を聞いて衝撃を受けました。社会人になると自分の置かれている立場によって、いろいろな世界に気軽に入れなくなる、と。地方行政の世界も同じ、と瀧本さんは話していました。学生のうちにいろいろな世界に入り込んでおいた方が良いとも言われました。
そこで「学生生活残りの半年で何ができるかな?」と考えた結果、私は現・つくば市長である五十嵐立青さんの選挙をお手伝いすることにしました。選挙100日前にも関わらず五十嵐さんは私の申し出を快く受け入れてくれました。そのときの選挙は残念ながら落選となりましたが4年後に見事、当選を果たしました。それがきっかけで五十嵐さんから「副市長にならないか?」と連絡をいただきました。
私にアクションのきっかけを与えてくれたのは瀧本さんの言葉です。実際に行動せよと。私が学生にアドバイスのするのは瀧本さんの影響でもあります。もし悩んでいる学生に本を渡すとしたら「僕は君たちに武器を配りたい」ですね。
その後、著者の瀧本さんは2019年8月に47歳の若さでこの世を去りましたが、僕が知るだけでも本当に多くの方々が瀧本さんから人生を変えるような影響を受けています。ゲリラ的に動いていくことの大切さ。「武器を配りたい」というのはそういう意味もあるんだな、と思います。ゲリラ的に世界を変える。行政でそういう発想を持っている人は多くないと感じます。

 

 

Q2:ここ1年以内においてあなたの生活に最も良い影響を及ぼした1万円以内の買い物は何ですか?

万円以上しますが、昨年栃木県に戻ってくるにあたりペーパードライバースクールに行きました。10年以上離れていた栃木県をしっかり知るには自分で丁寧に動き回るしかないと思い、自転車だけじゃ無理だな、と。(笑)

 

 

Q3:自分の中では失敗したと思った出来事が後の成功につながったことがありますか?具体的に教えてください。

挙チームのリーダーとして100日間泊まり込みで全力投球しました。つくば市の市長選のときは落選して大号泣でした。でも、当時いきなり当選していたら財務省に行っていなかったかもしれない、と考えることがあります。行政の組織の動かし方を知らないままつくばに行ってしまったかも…と。遠回りだったかもしれませんが結果的に良かったと思います。最短でいくことが良いことではない。
失敗はいっぱいしています。新しいことをやろうとすると小さな失敗はつきものです。市役所の仕事はやることが決まっているような印象があるかもしれませんが、意外と裁量の多い仕事です。
つくば市の副市長時代、市がバックアップする起業支援チームを作り、そのまとめ役をしていました。初の試みで上手くいかないことも多く、ある意味ベンチャー企業の経営のような経験でした。
大学生時代は焦りばかり感じていてゼミやサークルなど様々な活動に幅広く手を出して失敗してました。自分は勉強ばかりしてやっとのことで東京に出てきたら周囲には大学に入る前から自分で様々な社会貢献活動や独自の研究をしているような同級生がたくさんいて。
今の若者世代はSNSやデジタルを駆使して活躍している人がたくさんいます。昔と比べてそういう環境が整っているということも大きいですね。自分のやりたいことを実現しやすい世の中になっていると思います。もしかしたら今の若者世代の方が身近な人の活躍を目の当たりにして焦っているかもしれませんね。

 

 

Q4:よく思い出したり、人生の支えとなっていたりする言葉はありますか?ことわざや誰かの言葉、あるいは自分が考えたオリジナルな言葉でも構いません。

んー。ないですね。なんでだろう?(笑)
「ひとつの考え方にとらわれないようにしたい」という意識があるのかもしれませんね。ひとつの言葉で何かを解決できるということに懐疑的というか。実は内心、座右の銘を聞かれたらどうしよう…とは思っていました。(笑)

 

 

Q5:今まででお金、時間、エネルギーなど何でもよいが自分のリソースを投下して最も価値のあったものは何だと思いますか?

ろんな人に会って話をすることです。
私は政治家ではありませんが、副市長をやっていたときも任期を終えてからも人に会い続けています。人数を数えたことはありませんが、つくば市に着任したばかりの頃は地域のお店を知り、いろんな方々と話すために1日5回食事していた日もありました。(笑)
人と話すことが面白いし、好きなんです。特に人の話を聞いていることが好きですね。自分の置かれている環境で見える世界は限られてきます。自分が見えている世界だけで得られる情報にも限界があります。特に自分の仕事は地方行政について考えることなので、幅広い人の立場に立って物事を考えなくてはいけません。10代のときにはそういう考えはあまりなかった気がします。
財務省時代は寮ではなく、面白い人たちが集まるシェアハウスに住んでいました。起業家とか会社員とか。シェアハウスの住人が自由に誰かを連れて来られる環境を作っていました。毎週末、家で飲んで楽しかったです。
だから、コロナの時期は辛いですね。誰かとじっくり話し込むことが難しいので、そんな時は散歩に行って話をしています。(笑)
それぞれの人が見ている世界や価値観を知りたいんです。人の集まる場に顔を出さないと選ばれた情報しか自分に入ってこなくなるので。自分からそういう世界に飛び込むようにしています。地域のお祭りにも率先して参加していました。
栃木は地元ですが12年離れていたので、地域について分からない部分も多いです。だからこそいろんな人に会って、いろんなところに行って、少しでも今の栃木を知ろうと日々、努力しています。
栃木は魅力的なところです。暮らすには最高の場所です。しかし、それを周囲に伝えるのは難しい。そこに課題を感じています。いろんな魅力があるし、総合力で強いのでピンポイントでの発信が逆に難しいんです。丁寧に地域の実態やそこに住む方々の考えを把握して行きたいです。

 

Q6:自分の中でくだらないけれどなぜか止められないクセや習慣はありますか?

生の時は議論好きでした。当時は理詰めで議論する癖がありましたが、いつからかそれがなくなりました。人を論破しても良いことなんてないな…って。(笑)
議論ももちろん大切ですが、それだけでは解決できる課題は実社会には少ないのではないかと思います。対話の方向に向かっているかもしれません。

 

Q7:ここ数年であなたの人生をよりよくしてくれた新しい考え方や行動はありますか?

木県内のある市で職員の勉強会を担当しました。その時に出会った職員さんが※暗渠(あんきょ)などの地理マスターで。一緒に街歩きをしました。見方によってまるで知らなかった世界があることを知りましたね。そのおかげで、栃木市にある暗渠の上に立っている電話ボックスは相当貴重ということを知りました。
暗渠マニアは結構いるようです。先日、栃木市内の町歩きが開催されました。皆さん列になってまるでアイドルの撮影のように熱狂的に暗渠の上に設置された電話ボックスを写真に収めていました。そのとき暗渠に限らず、栃木の魅力を伝えるのも同じことなのではないかと思ったんです。刺さる人には刺さる。しかも熱狂的に刺さる。
私はオタクになれないタイプの人間かな。何かに情熱を注ぐって純粋にすごいことですよ。私は何かにどっぷりと入り込むタイプではないので、入り込んでいる人を尊敬しています。世の中いろんなマニアがいますよね。

 

※暗渠(あんきょ)…ふたのある水路または地下水路のこと。ふたを簡単に外せるものも含まれる。都市部で川の上にふたをしたものや郊外の農業用水もふたがあれば暗渠と呼ばれる。反対にふたのない水路は開渠と呼ぶ。

 

 

 

Q8:これから新たな挑戦をしようとしている若者へ伝えておきたいアドバイスはありますか?あるいは他者からのアドバイスで無視した方が良いと思うものはありますか?

ドバイザーの仕事をしていますが誰かのアドバイス一つで解決することはないと考えます。僕からのアドバイスも疑うことが大切です。物事を俯瞰して見ることがアドバイスかもしれない。正解は人によって違うし、正解すらない世界に向き合わなければいけない時代だと感じています。

 

Q9:行き詰まった時、考えがまとまらなかった時、集中力が途切れた時、どうしていますか? 

に座って行き詰まったら行動を変えます。例えば散歩するとか風呂に入るとか。思いついたことを忘れてしまうので普段からメモを持ち歩いています。脱衣所にメモを置いておいたことも。考えたことをとりあえずパソコンに打ち込むことも大事ですね。ワーキングメモリーには限界がありますから。

 

 

Q10:人生のターニングポイントにおいて、あなたに大きな影響を与えた人物は誰ですか?(有名人でも誰でも構いません)または誰にサルバドールされましたか?そして誰をサルバドールしたいですか?

宮金次郎(二宮尊徳)をライバルと思いながら少しでも追いつけるように精進しています。彼が立て直した代表的な農村のひとつが真岡市です。二宮尊徳は小田原藩からよそ者として派遣されて来ました。しかし廻村(かいそん)といって地域を巡り、地域の信頼関係を築き、徐々に改革を進めていきました。地域のファイナンスの体制も整え、地域が助け合う仕組みづくりを行いました。地域再生のノウハウを蓄積し、それを後継者にも伝えていったんです。人材育成もきちんとやっていたんだな、と。
今、ようやく大切だと認識されてきたようなことを当時から既にやっていたんです。私が今後やっていきたいこと考えていることの先駆者ですね。現代にも通じることをやっています。
彼の伝記を見ると、改革が上手くいかなくて落ち込んで寺に引きこもっていた時期もあったと書いてあります。改革者あるあるですね。(笑)そんな人間的な部分にも共感しています。

二宮尊徳の改革者ならでは視点は、自分自身が地域に目を向け始めてから特に意識している部分でもあります。栃木出身なので昔から知っていましたが、改めてすごい人だなと思いました。栃木県では真岡市や今市に資料館や記念館がありますが、真っ先に見に行きました。彼はただ歩きながら本を読んでいるだけではないんですよ。
ちなみに身長が180㎝あったそうです。江戸時代なのに。(笑)

 

 

 

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