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- 2022/07/27
- サルバドールズ
月刊サルバドールズ #04
塙尚恵/はやぶさ交通株式会社 代表取締役
「疲れた時は社員の写真を見て頑張ろうと思っている。」
Profile:
塙尚恵
栃木県宇都宮市生まれ。はやぶさ交通株式会社代表取締役。「ものがたりを乗せて」をテーマにお客様一人ひとりに寄り添った旅行の企画・運営を行う。宇都宮中央ライオンズクラブ第52代・第55代会長。2001年 全日本女子柔道選手権52㎏級栃木県代表。大型自動二輪免許・大型第二種免許・運行管理者[旅客・貸切・貨物]・総合旅程管理者・総合旅行業務取扱管理者・危険物取扱管理者乙種第4類。
Q1:人生において大きな影響を受けた本はありますか?また、よく人にプレゼントする本はありますか?
読んだ人がありのままで良いと感じるようなエッセイが好きです。自己肯定感が低い人間だったからかもしれません。エッセイは自己肯定感を高めることができるので中学生の頃から読んでいます。学生の時、小泉吉宏さんの「愛のシッタカブッタ ― あけると気持ちがラクになる本」というエッセイを友達のピーコちゃんがくれました。4コマ漫画の恋愛ものです。この本から物事の考え方を学びました。
自身の出産前後には赤ちゃんに関するエッセイをたくさん読みました。特に好きだったのは田村セツコさんの「あなたにあえてよかった」という本です。親は選べないって言うけど選んできている。赤ちゃんの思いを言葉にしたような優しい世界観に惹かれました。その本のおかげで子育てが上手くいった気がします。今でも子育てに悩んだ時とか落ち込んだ時に読むお気に入りの一冊です。
Q2:ここ1年以内においてあなたの生活に最も良い影響を及ぼした1万円以内の買い物は何ですか?
靴ですね。革靴を履いていたら足が痛くなり、そこからぎっくり腰になった経験があって。
お店の人に相談したらストレッチ設計のオフィスパンプスを勧められました。試してみたらとても履きやすくて。それ以降、ネットで購入し愛用しています。おすすめです。
Q3:自分の中では失敗したと思った出来事が後の成功につながったことがありますか?具体的に教えてください。
結婚かな。笑
19歳で結婚しました。当時、私は大学1年生。学生結婚で大学3年生の夏休みに長女を出産し、20歳で母になりました。早く結婚したいという思いが強かったんです。
21歳の時には大型第2種免許と大型自動二輪免許を取得しました。主婦として母として学生として家事と育児と勉学のバランスを保つのは大変でしたが、努力を続け大学は首席で卒業しました。授業や教育実習がある時は長女を託児所に預け大学に通いました。大学を卒業するタイミングで父が「はやぶさ交通」を創業し、そのタイミングで私も入社して現在に至ります。
その後25歳の時に次女を出産、さらに27歳で三女を出産しましたが、いろいろあって29歳の時に離婚しました。3人の幼い子ども達を育てながら観光業の仕事を継続するのは本当に大変でしたが、あの経験があったからこそ並大抵のことでは大変だと思わなくなりました。子ども達がまっすぐに育ってくれているのが何よりの励みです。
Q4:よく思い出したり、人生の支えとなっていたりする言葉はありますか?ことわざや誰かの言葉、あるいは自分が考えたオリジナルな言葉でも構いません。
「強くなれよ」です。これは小学校の同級生だった松崎くんに言われた言葉です。突然、小学校の卒業式の日に言われて。当時、仲が良かった友人の一人でした。なぜ言われたのかは今でも分かりません。でも、その言葉がとても印象に残っています。当時、私は小学校でいじめに遭い、ほとんど通っていませんでした。松崎くんは5、6年の時にクラスが一緒でした。彼のおかげで私は6年生の時に皆勤賞をもらうことができました。
大人になった今もずっと心に残っていて「どうしたら強くなれるだろう」と考えると同時に「今のままではいけない」と思うようになりました。そして中学校に進学し、柔道部に入りました。きっと松崎くんの話は心の面で「強くなれよ」という意味だったと思うのですが、体を強くする方向に行きました。先輩である女子部員が男子部員を投げていて「かっこいい!強くなりたい!」と思ったことがきっかけです。14歳で黒帯になり県3位となりました。高校の時は高校総体県予選で準優勝しましたが、減量が辛かったです。当時はオリンピックに本気で出たいと思っていました。大学1年生の時に岡山で行われた全日本柔道選手権大会に栃木県代表で出場したことは誇りです。
「強くなれよ」という言葉は大人になった今でも思い出します。どんなことがあっても諦めない、と心に決めています。松崎くんには卒業以来会っていませんが、元気に過ごしていますかね?
Q5:今まででお金、時間、エネルギーなど何でもよいが自分のリソースを投下して最も価値のあったものは何だと思いますか?
柔道です。技術的な面はもうできないと思いますが、精神力や諦めない気持ちを学びました。運動神経はあまり良くなかったのですが、すべてのエネルギーを投下してやってきたという自負があります。その結果、心身ともに強くなりました。「やればできる」ということを学びましたね。どうしたらできるのかを探るようになり、物事を簡単に諦めなくなりました。柔道なくして私という人間は語れないと思っています。礼儀もすごく教えられました。試合の時はいつ死んでも良いように身の回りをきれいにしておきます。着替えをきれいに畳んでおくなど、いつ何があってもいいようにします。柔道の先生は厳しい方でしたが、その教えが今も役に立っています。戦に臨む武士と同じ気持ちです。たとえ試合に勝っても、内容が悪いと怒られます。逆に負けても内容が良ければ褒められます。そして相手に失礼のないよう常に礼儀をもって試合に臨みます。武道とはそういう世界です。
Q6:自分の中でくだらないけれどなぜか止められないクセや習慣はありますか?
お客様に最後の挨拶をするときに柔道の礼になってしまうことです。もしかしたら気になる人は気になっているかもしれません。きちんとした挨拶をしたい時に必ずやってしまいます。笑 柔道は最初も最後もきちんとした挨拶をしないと畳に上がれないんです。そのクセが染みついていて、抜けません。
Q7:ここ数年であなたの人生をよりよくしてくれた新しい考え方や行動はありますか?
知人の紹介でメンタルトレーニングを受けました。オリンピック選手が受けているものと同じで、自己肯定感を高める効果があります。
娘がバレーボールをやっています。大人が夢中になりすぎて時々、子どもの気持ちより大人の考えを優先しそうになる時があります。そのことで過去にいろいろなトラブルもありました。そこで学んだことは「子どもを1人の人間として見る」ということです。それが一番大切なことだと思います。私は常に、子どもの意見を尊重するようにしています。
「今のままで良い」と子ども自身の存在を正面から認めてあげること、相手を尊重できる人になること、枠にとらわれず色々な考え方を受け入れること。その3つを大切にしています。会社でも社員にメンタルトレーニングを受けてもらっています。
Q8:これから新たな挑戦をしようとしている若者へ伝えておきたいアドバイスはありますか?あるいは他者からのアドバイスで無視した方が良いと思うものはありますか?
失敗を恐れないでほしいと思います。失敗こそが成功のチャンスです。思うようにやりたいようにやってみて、ダメだったらまた考えれば良いんです。挑戦することに対して間違いということはありません。仮に自分で失敗したと思っても、そのことで自分を責めないでほしい。起きてしまったことを悔やむよりも、同じことを繰り返さないように今後どうしていくのか前向きな方向にスイッチしてほしいですね。
あと否定的なことばかり言う人の言葉はあまり聞かない方が良いと思います。例えば「そんなの無理」とか やる前から否定する人っていますよね。まずはやってみなくちゃ分からないし。何事もチャレンジです。
Q9:ここ数年で、うまくNOと言えるようになったこと(ビジネスでもプライベートでも)はありますか?断るコツはありますか?NOと言えるようになった結果、新たに気づいたことや役に立ったことはありますか?
ないですね。笑
何事も「義務感で参加する」という感じが好きではないんです。自分の中でよく考え、行っても実りがないな…と判断したものは、相手の方に申し訳ないと思いつつ丁重にお断りすることにしています。
でも断ったら断ったで、その時の相手の反応や言葉が気になっちゃうんですよね。私のことを考えて誘ってくれているのか、そうじゃないのか。なんとなく相手の雰囲気でそれを察してしまうんです。
その一方で、それだけで相手のことを判断するのは良くないな…とも思っています。難しいですね。
Q10:行き詰まった時、考えがまとまらなかった時、集中力が途切れた時、どうしていますか?
とりあえず一旦やめて別のことをやります。以前、締切が迫っている案件で行き詰まってしまったことがあって。本当はやらなきゃいけなかったけど、無かったことにしてそっと心にしまってしまったんです。笑
やりたくない時にやってもしょうがないです。そういう時は営業に行って人と話すことにしています。人と話すと心がスッキリします。人と話すと元気になります。「よし頑張ろう!」という活力が湧いてきます。誰かと話すのが大切で、好きなんです。
Q11:サルバドールされたアートや芸術はありますか?単純に好きなアートや芸術でも構いません。
音楽が好きです。邦楽やラブソングなど。愛とか恋とかを歌う曲が好きですね。桐谷健太さんの「海の声」や秦基博さんの「ひまわりの約束」はよく聴きます。あと中島みゆきさんの「糸」やMISHAさんの「逢いたくていま」など。人と関わることや人の気持ちを歌う曲が好きです。
アートではクリスチャン・ラッセンが好きです。ステンドグラスで有名な藤城清治さんも。
それと中学の同級生で同じ地元・栃木県でクリエイティブディレクターとして活躍している船見卓裕さんが撮影してくれた社員の写真がお気に入りです。疲れた時、その写真を見て「よし頑張ろう!」と気合いを入れます。変態かもしれません。笑 すごくいい写真なので、ついつい見入ってしまいます。皆さんにもぜひ見てほしいです。
Q12:人生のターニングポイントにおいて、あなたに大きな影響を与えた人物は誰ですか?(有名人でも誰でも構いません)または誰にサルバドールされましたか?そして誰をサルバドールしたいですか?
コロナで仕事が無くなった時に人の大切さが見えました。会社の人材も半分以上辞めてしまいました。厳しい経営状況ですが、何とか維持しています。大変な時に会社に残ってくれた今いる社員にずいぶんサルバドールされました。そして私も全力でサルバドールしたいと思っています。ずっと「この会社を1人でなんとかしなければいけない」と思ってやってきました。社員やその家族の人生を背負っているというプレッシャーが常にありました。今の社員たちは会社や私のことを思ってくれているような気がしている。だから私も精一杯それに応えたい。社員にそれ以上のものを返してあげたいなと思っています。
LINK:
https://www.facebook.com/hayabusahisae
はやぶさ交通株式会社
https://hayabusa-koutsu.co.jp/
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