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- 2024/02/21
- サルバドールズ
月刊サルバドールズ #16
佐藤達人/美容師
「穴という穴をほじってしまうのは男の本能だと思う。」
Profile:
1983年6月、栃木県喜連川町(現さくら市)生まれ。美容師。
2023年5月に宇都宮市に美容室「HA-F」を開業。店名の「HA-F」は「HAPPY LIFE」と「HAVE FUN」を掛け合わせたもの。『髪を切ることは日常の一部であり、お客様にとってサロンが「楽しみな場所」になってほしい』という想いが込められている。
Q1:人生において大きな影響を受けた本はありますか?また、よく人にプレゼントする本はありますか?
人に本をプレゼントしたことはないですね。影響を受けた本は司馬遼太郎の「燃えよ剣」です。新撰組が好きで、20代後半の時に読みました。新撰組の中でも特に土方歳三をフィーチャーした内容になっています。その生き方に憧れましたね。土方歳三は目標に向かって一途な面があり、なあなあになる部分が無いんですよね。だから仲間でも容赦なく切り捨てます。鬼の副長と言われていました。結果、新選組を動かしていたのは土方歳三だったのでは…と感じる一冊です。土方歳三は新選組の副長で№2です。自身の人生を振り返ると「自分もいつも2番手だったな」と思うことがあります。部活でも副部長だったり、前職でも№2だったり。土方歳三と重なる部分も多く、その姿を自身に投影していました。№1になれないというか。自分自身はそういう気質ではないと考えていて。でも、その一方で動かしたいと思っている自分もいます。
あと岡本太郎の「自分の中に毒を持て」も好きです。「これだよね!」と読んでいて熱くなりました。本来、人間はこういう風に生きればいいと思っています。とても単純なことなんです。思ったように生きなさい、という言葉がシンプルに響きました。
Q2:ここ1年以内においてあなたの生活に最も良い影響を及ぼした1万円以内の買い物は何ですか?
最近、買い物していないけど…何だろうな。
あっ、レコードを聴くためのフォノイコライザーかな!サロンにレコードプレーヤーがあって。そのまま流すと音が小さいので、フォノイコライザーで音を拡張して流しています。1,500円くらいだったかな。安いのにモノは非常に良かったので、いい買い物でした。
Q3:自分の中では失敗したと思った出来事が後の成功につながったことがありますか?具体的に教えてください。
担当したお客さんに「時間がかかりすぎる」って、めちゃくちゃ怒られたことがありましたね。スタイリストになってお客さんと携わることになった頃かな。その時は「時間をかけずにクオリティを上げる必要があるんだ」と思いましたね。振り返ると失敗だらけなんだけど、失敗を失敗と思わないタイプかもしれません。怒られた内容にもよりますが、仕事なので学ばせてもらっていると考えています。言われてみると、たしかにそういう考え方もあるな…と。
美容師になる前は製造業の会社で働いていました。正直、あの頃は真っ当でなかったですね。まず、ちゃんと会社に行けてなかったし笑。8時半出社なのに10時に出社していました笑。遅刻しても何も言われなかったな…。思えば学校もちゃんと行っていなかったですね。やりたいことを優先してしまい、我慢できない自分がいました。
でも20歳の頃、一念発起して「美容師をやる!」と決めてからは真っ当になっていきました。スイッチが入りましたね。美容師になろうと思った理由は時代の流行りもあったけど、ちょうどメンズヘアカタログが出始めた時期で。スタイリングの仕方などを真似するうちに興味が湧き、自分の好きな仕事をして、人に喜んでもらえたら最高だなと。美容師っていい仕事だなと思ったからです。
Q4:よく思い出したり、人生の支えとなっていたりする言葉はありますか?ことわざや誰かの言葉、あるいは自分が考えたオリジナルな言葉でも構いません。
甲本ヒロトさんが番組で言っていた「夢はひとつにしろ」という言葉です。
夢を語る時ってほとんどの人が「◯◯になって、△△したい」と言いますよね。例えば「有名になって、お金持ちになりたい」とか2つ意味をくっつけてしまう。そうじゃなくて「有名になりたい」とか「お金持ちになりたい」とか夢はひとつにしろ、と話していました。甲本さんは「バンドをやるのが夢」だったので、今も夢が叶い続けている状態にいるんだそうです。番組の中で「夢はすぐ叶うよ」と言っていました。それを聞いた時に「夢ってそういうことか!」と思いましたね。感銘を受けました。自分の夢は「スタイリストになりたい」です。そして今の自分自身も甲本さんのように夢が叶い続けています。それって幸せなことですよね。甲本ヒロトさんと同じです笑。
Q5:今まででお金、時間、エネルギーなど何でもよいが自分のリソースを投下して最も価値のあったものは何だと思いますか?
ライブに行くことかな。現実逃避できる時間です笑。幸せな気分になりますね。2016年だったかな。Hi-STANDARDが再結成して、アルバムを出して、そのツアーのライブに行きました。初めて見る生のハイスタ。場所は埼玉スーパーアリーナでした。ツアーファイナルだったし、感動しましたね。
最近、行きたいと思っているのはレッチリです。チケットが取れれば5月のライブに行きたいと思っています。実は去年の2月もレッチリのライブに行ったんです。ギターのジョンが戻ってきたアルバムのツアーでしたね。衰え知らずのメンバーでした笑。ギターが鳴いていましたよ。
Q6:自分の中でくだらないけれどなぜか止められないクセや習慣はありますか?
運転中に鼻をほじること笑。穴という穴をほじってしまうのは男の本能だと思います。絶対にみんなやっている笑。みんなカッコつけて言わないだけだと思う笑。
Q7:ここ数年であなたの人生をよりよくしてくれた新しい考え方や行動はありますか?
「生きてるだけで丸儲け」という考え方です。人生いろいろなことがあるけど、生きていれば何とかなるし、生きているだけで良いんですよ。家族に対する想いとか親が子を思う気持ちとか。その人が生きていることに意味があるんですよ。成功とか幸せとかは自分自身が決めるもの。人から言われて決めるものではないと思っています。
Q8:これから新たな挑戦をしようとしている若者へ伝えておきたいアドバイスはありますか?あるいは他者からのアドバイスで無視した方が良いと思うものはありますか?
「やめておいた方がいいよ」というアドバイスは無視した方がいいかな。誰が何と言おうと「やりたい」と思ったら自分に正直に。人生はいつでも何歳からでもやり直せると思っています。
Q9:ここ数年で、うまくNOと言えるようになったこと(ビジネスでもプライベートでも)はありますか?断るコツはありますか?NOと言えるようになった結果、新たに気づいたことや役に立ったことはありますか?
割とNOと言えるタイプですが、NOと言う時の言い方には気をつけています。断る時の言い方は大事だなと思っていて、相手の気持ちを考えて言うようにしています。例えば今度飲みに行こうよと誘われたとします。でも気分的に飲みに行きたくないな~って思う時もあるじゃないですか。そういう時に「行けないです」と直接的に断るのではなくて「タイミングが合えば、行きましょう」という感じで答えて、相手の出方を待ちますね笑。待っている間に自分の気が変わって、行ってもいいかなと思う時もあるので。
Q10:行き詰まった時、考えがまとまらなかった時、集中力が途切れた時、どうしていますか?
そのことを全く考えないようにします。本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたりします。考えようとすると考えられないタイプかもしれません笑。変なタイミングで解決策が思い浮かぶこともあります。
Q11:サルバドールされたアートや芸術はありますか?単純に好きなアートや芸術でも構いません。
音楽に救われました。特にロック、ブルーハーツですね。悶々としていた思春期の自分に重なったというか。ストレートな歌詞で、刺さるものがありました。
当時は、時代的にちゃんと型にはまらないといけない風潮がありましたね。それをぶっ壊してくれたのがブルーハーツでした。ちゃんとしなくても良いんだ、はみ出しても良いんだ、って思いました。ブルーハーツを聴いて、パンクロックを知りました。CDを貸してくれた先輩がいてNOFXのライブ盤を聴きました。ジャケがライブハウスのイラストで、中の歌詞カードにライブ会場の写真が載っていて。その中に中指を立てている写真があって「コレだよ!」と思いました笑。ライブ音源はパンクやスカも入っていたので物足りなさを感じ、もっとパンクっぽいのを探し始めました。そんな時、ハイスタの「angry fist」海外盤のジャケットに「PUNK」と書いてあるのを見つけてコレだと直感して買いました。初めて聴いた時、歌詞が英語なのか何なのかよく分からなくて、外国のバンドかと思いました。当時ギターを弾き始めていましたが「BANDやろうぜ」という雑誌にハイスタのスコアが載っていて、それで日本人のバンドなんだと知りました。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTも好きで「バードメン」から入りました。それも「BANDやろうぜ」にスコアが載っていたんですよ。
Q12:人生のターニングポイントにおいて、あなたに大きな影響を与えた人物は誰ですか?(有名人でも誰でも構いません)または誰にサルバドールされましたか?そして誰をサルバドールしたいですか?
身近な人に影響されたことはないかもしれません。この人みたいになりたいと思ったことがないんです。こういう人にはならないようにしようと思うことはありますけど。逆に自分自身がそういう人になれたらいいなと思っています。人と比べたりしたくないし、元からそういう発想が無いんですよね。だって、俺は俺だから。
サルバドールしたいのは、人生に悩んでいる人たちかな。困っている人、悩んでいる人には手は差し伸べたいと思っています。時々「やりたいことがない」とか「死にたい」とか話す人がいます。軽い気持ちで言っているのかもしれませんが、何か力になれることはしたいなと思っています。
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